問1
次の各文章は、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」及びそれに関連した命令について述べたものである。ここで、法令は令和4年4月1日時点で施行されているものである。これらの文章において、
- エネルギーの使用の合理化等に関する法律を『法』
- エネルギーの使用の合理化等に関する法律施行令(政令)を『令』
- エネルギーの使用の合理化等に関する法律施行規則(経済産業省令)を『則』
- エネルギーの使用の合理化等に関する基本方針を『基本方針』
と略記する。
(3)エネルギーを使用する工場等における『法』の適用
(『法』第2 条、第7条~第14条及び関連する『令』、『則』の規定)
ある事業者が「化学工場」及び「別の事業所である本社事務所(専ら事務所として使用)」を有しており、これらがこの事業者の設置している施設の全てである。ここで、前年度の燃料、電気などの使用量を法令で定めるところにより発熱量又は熱量として換算した量は、化学工場では次のa~e、本社事務所では次のf~hのとおりであり、この事業者はこれら以外のエネルギーは使用していなかった。
なお、この事業者は連鎖化事業者、認定管理統括事業者又は管理関係事業者のいずれにも該当していない。
化学工場
a:ボイラの燃料として20万ギガジュールの都市ガスを使用した。
b:電気事業者から35万ギガジュールの電気を購入して使用した。購入先の電気事業者の販売する電気は、化石燃料で発電したものである。
c:ガスタービンコージェネレーションの燃料として25万ギガジュールの都市ガスを使用した。このコージェネレーション設備によって発電した電気は5万5千ギガジュール、発生させた蒸気は13万3千ギガジュールであり、いずれも工場内で使用している。
d:aのボイラ及びcのコージェネレーション設備で発生させ使用した蒸気の凝縮水の一部3千ギガジュールを回収してボイラの給水として使用した。
e:工場内の設備で冷却水を使用している。冷却水は循環使用されており、冷却熱量5万ギガジュールが冷却塔から放熱されている。また、冷却水用の補給水には工業用水を用いている。
本社事務所
f:電気事業者から3万8千ギガジュールの電気を購入して使用した。購入先の電気事業者の販売する電気は、化石燃料で発電したものである。
g:給湯には、fの電気の一部を使用して加熱ヒ一タとヒートポンプを稼働している。ヒートポンプにより、空気中から2千ギガジュールの熱が利用された。
h:空調のために,外部の熱供給事業者から1万2700ギガジュールの冷水及び1万500ギガジュー ルの温水の供給を受けて使用した。熱供給事業者は都市ガスを使用して冷水及び温水を製造している。
1)エネルギー使用量の計算
前年度に使用した、法令で定めるエネルギーの使用量を原油の数量に換算した量は、化学工場では[A|abcde]キロリットル、本社事務所では[B|abcd]キロリットルである。この事業者のエネルギー使用量は、化学工場と本社事務所のエネルギー使用量の合計であり、その量から判断して、この事業者は特定事業者に該当する。
なお、『則』によれば、発熱量又は熱量1ギガジュールは原油0.0258キロリットルとして換算することとされている。
[A]20,640(キロリットル)
[B] 1,579(キロリットル)
エネルギー使用量とは、事業所で実際に使用したエネルギー量です。簡単に言うと、外部(電力会社、ガス会社など)から供給されたエネルギー量の事を言います。事業所内での排熱を利用した発電や、冷却ロスなどは含まれません。エネルギーの単位はジュール(J)ですが、一般的に重油換算値(kL)を用います。
重油換算値(kL) = エネルギー使用量(J) × 0.0258(kL/J)
A化学工場のエネルギー使用量
エネルギー使用量
= 20万(GJ) + 35万(GJ) + 25万(GJ)
= 80万(GJ) = 8×105(GJ)
重油換算量
= 8×105(GJ) × 0.0258(kL/J)
= 20,640(kL) (答え)
a:ボイラの燃料として20万ギガジュールの都市ガスを使用した。
b:電気事業者から35万ギガジュールの電気を購入して使用した。購入先の電気事業者の販売する電気は、化石燃料で発電したものである。
c:ガスタービンコージェネレーションの燃料として25万ギガジュールの都市ガスを使用した。このコージェネレーション設備によって発電した電気は5万5千ギガジュール、発生させた蒸気は13万3千ギガジュールであり、いずれも工場内で使用している。
d:aのボイラ及びcのコージェネレーション設備で発生させ使用した蒸気の凝縮水の一部3千ギガジュールを回収してボイラの給水として使用した。
e:工場内の設備で冷却水を使用している。冷却水は循環使用されており、冷却熱量5万ギガジュールが冷却塔から放熱されている。また、冷却水用の補給水には工業用水を用いている。
B本社事務所のエネルギー使用量
エネルギー使用量
= 3.8万(GJ) + 1.27万(GJ) + 1.05万(GJ)
= 6.12万(GJ) = 6.12×105(GJ)
重油換算量
= 6.12×105(GJ) × 0.0258(kL/J)
= 1,579(kL) (答え)
f:電気事業者から3万8千ギガジュールの電気を購入して使用した。購入先の電気事業者の販売する電気は、化石燃料で発電したものである。
g:給湯には、fの電気の一部を使用して加熱ヒ一タとヒートポンプを稼働している。ヒートポンプにより、空気中から2千ギガジュールの熱が利用された。
h:空調のために,外部の熱供給事業者から1万2700ギガジュールの冷水及び1万500ギガジュー ルの温水の供給を受けて使用した。熱供給事業者は都市ガスを使用して冷水及び温水を製造している。
2)エネルギー管理指定工場
1)で求めた「前年度に使用した、法令で定めるエネルギーの使用量」から判断して、この化学工場は、第一種エネルギー管理指定工場等に該当する。また、本社事務所は、[1]。
(ア)第一種エネルギー管理指定工場等に該当する
(イ)第二種エネルギー管理指定工場等に該当する
(ウ)化学工場と合わせて、第一種エネルギー管理指定工場等に該当する
(エ)エネルギー管理指定工場等に該当しない
(エ)エネルギー管理指定工場等に該当しない
本社事務所は、年度エネルギー使用量が1,500kL以上3,000kL未満であるため、第二種エネルギー管理指定工場等に該当する。1,500kL毎に指定区分が変わる事を覚えておきましょう。
エネルギー使用量 | 3,000kL/年度以上 | 1,500kL/年度以上 ~3,000kL/年度未満 | 1,500kL/年度未満 |
---|---|---|---|
指定区分 | 第一種 エネルギー管理指定工場 | 第二種 エネルギー管理指定工場 | 指定なし |
3)エネルギー管理者
1)及び2)で当該の指定を受けた後、この事業者が事業者の単位で選任しなければならないのは、エネルギー管理統括者及びエネルギー管理企画推進者である。一方、化学工場について、選任しなければならないエネルギー管理者の数は[1]名である。なお、エネルギー管理者の選任は、選任すべき事由が生じた日から[2]以内に行なわなければならない。
(ア)1 (イ)2 (ウ)3 (エ)4
(オ)10 (カ)3ヶ月 (キ)6ヶ月 (ク)1年
[1](イ)1人
[2](キ)6か月
工場の原油換算エネルギー使用量が2.0640万kLであるから、選任数は2人である。また、選任すべき事由が生じた日から6か月以内に選任しなければならない。
表2.エネルギー管理者の選任数
事業者の区分 | 選任数 | |
コークス製造業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業に属する第一種エネルギー管理指定工場等 | 10万kL/年度以上 | 2人 |
10万kL/年度未満 | 1人 | |
製造業(コークス製造業を除く)、工業に属する第一種エネルギー管理指定工場等 | 10万kL/年度以上 | 4人 |
5万kL/年度以上~10万kL/年度未満 | 3人 | |
2万kL/年度以上~5万kL/年度未満 | 2人 | |
2万kL/年度未満 | 1人 |
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