問3
次の各文章は、「工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準」(以下、『工場等判断基準』と略記)の内容及びそれに関連した管理技術の基礎について述べたものである。ここで、『工場等判断基準』は、令和4年4月1日時点で施行されているものである。これらの文章において、『工場等判断基準』の本文に関連する事項については、その引用部を示す上で、「Ⅰエネルギーの使用の合理化の基準」の部分は、『基準部分』と略記する。特に「工場等(専ら事務所その他これに類する用途に供する工場等を除く)」における『基準部分』を、『基準部分(工場)』と略記する。1~12の中に入れるべき最も適切な字句等をそれぞれの解答群から選び、その記号を答えよ。また、[A|ab]~[H|a.b]に当てはまる数値を計算し、その結果を答えよ。ただし、解答は解答すべき数値の最小位の一つ下の位で四捨五入すること。なお、単位のm3Nは標準状態(0℃、1気圧)における気体の体積を表す。(配点計100点)
(13)デマンド
受変電設備及び配電設備に関して、『基準部分(工場)』は、「電気を使用する設備の稼働について管理標準を設定し、調整することにより、工場における電気の使用を平準化して最大電流を低減す ること。」を求めている。電気の使用の平準化を行うための代表的な方法として、最大需要電力の低減がある。
1)最大需要電力低減のための装置
最大需要電力を低減するために、一般に[8]装置が用いられる。また、電気の使用の平準化を目的として蓄熱設備、蓄電設備なども用いられる。
(ア)デマンド監視制御
(イ)電圧調整
(ウ)無効電力調整
(ア)デマンド監視制御
2)最大需要電力の計算
ある工場では、最大需要電力を6,000kW以下に抑えることにしている。ある日の9時から9時30分までの30分間について考える。9時から9時20分までに使用した電力量が2,200kW・hであるとすると、9時20分から9時30分までの残り10分間の平均電力を[H|a.b]×103[kW]以下とする必要がある。ここで、最大需要電力は使用電力を30分ごとに区切ってその30分間の平均値で管理するものとする。
4.8
デマンド監視制御装置
デマンドとは、日本語では需要を意味します。つまり電気の需要のことをいいます。デマンド監視制御装置は、電力会社や工場などの大規模な電力利用者が使用する装置で、電力の使用状況を監視および制御するために設置されます。需要家は電力使用量に応じて料金を支払う必要があるので、デマンド監視制御装置により、電気料金を抑える事ができます。
(1)監視機能
電力使用量を時間単位で測定し、ピーク時やオフピーク時などの時間帯別に使用量を記録します。また、電力使用量が許容範囲を超えた場合には、アラートを発することができます。監視データを分析することで、無駄な電力の使用を把握し、省エネや電力の効率的な利用を促進するためにも使用されます。
(2)制御機能
あらかじめ設定した目標電力値を超過しないよう、負荷設備を抑制制御する機能です。制御対象の設備は、一般的には、照明や空調です。近年では、蓄電池を活用し、電気使用量が少ない時間帯に蓄電池を充電、電気使用量が多い時間帯に充電した電気を活用することで、最大電力値を抑制することも行われております。
最大需要電力の計算
(1)問題の整理
Pmax:最大需要電力 6,000[kW]以下
W1:9時から9時20分までの電力量 2,200[kWh]
P2:9時20分から9時30分までの平均電力量 [H|a.b]×103[kW]
(2)9時20分から9時30分までの電力量W2[kWh]
最大需要電力Pmaxより、30分間で使用できる最大電力量W30max[kWh]は、
W30max = Pmax × 30/60 = 6,000 × 30/ 60
= 3,000[kWh]
9時20分から9時30分までの電力量W2は、
W2 = W30max – W1 = 3,000 - 2,200
= 800[kWh]
よって、9時20分から9時30分までの平均電力量P2は、
P2 = W2 / (10 / 60) = 800 / (10 / 60)
= 4,800[kW]
= 4.8 ×103[kW]
よって、9時20分から9時30分までの平均電力量は、4.8×103[kW]となる。
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