エネ管22年 Ⅱ電気基礎 問1(2)【三相回路】

エネルギー管理士 過去問 三相回路
もくじ

問1

 次の各文章の[1]~[13]の中に入れるべき最も適切な字句等をそれぞれの解答群から選び、その記号を答えよ。(配点計50点)

(2)三相回路

 図1に示すように、対称三相交流電源に接続された負荷がある。

三相回路

図1

 ここで、電源の相電圧を\(\mathrm{\dot{E}_{a}}\)、\(\mathrm{\dot{E}_{b}}\)、\(\mathrm{\dot{E}_{c}}\)、線間電圧を\(\mathrm{\dot{E}_{ab}}\)、\(\mathrm{\dot{E}_{bc}}\)、\(\mathrm{\dot{E}_{ca}}\)、線電流を\(\mathrm{\dot{I}_{a}}\)、\(\mathrm{\dot{I}_{b}}\)、\(\mathrm{\dot{I}_{c}}\)とする。一方、負荷1はインピーダンス\(\mathrm{\dot{Z}_{0}}\)を結線した平衡三相負荷であり、a相線電流\(\mathrm{\dot{I}_{a1}}\)の位相は\(\mathrm{\dot{E}_{a}}\)に対してφ[rad]だけ遅れている。また、負荷2はa相とb相の間に接続された抵抗Rであり、この電流を\(\mathrm{\dot{I}_{a2}}\)とする。この回路において、有効電力及び無効電力を求める二つの方法を考える。ただし、負荷以外のインピー ダンスは無視するものとする。また、無効電力は遅れを正とする。

1)有効電力と無効電力 第一の方法

 負荷1と負荷2が相互に影響しないことから、別々の負荷として考えて、その結果を合算する。

ⅰ)負荷1のみを考える。

 三相交流の電源は対称で負荷は平衡であるので、線電流\(\mathrm{\dot{I}_{a1}}\)は次式のように表される。

\[\mathrm{\dot{I}_{a1}=\colorbox{cyan}{[ 5 ]}\tag{1}}\]

 また、電圧\(\mathrm{\dot{E}_{a}}\)の大きさを\(\mathrm{E_{a}}\)、\(\mathrm{\dot{E}_{b}}\)の大きさを\(\mathrm{E_{b}}\)、\(\mathrm{\dot{E}_{c}}\)の大きさを\(\mathrm{E_{c}}\)、\(\mathrm{\dot{E}_{ab}}\)の大きさ\(\mathrm{E_{ab}}\)、電流\(\mathrm{\dot{I}_{a1}}\)の大きさを\(\mathrm{I_{a1}}\)、\(\mathrm{\dot{I}_{b1}}\)の大きさを\(\mathrm{I_{b1}}\)、\(\mathrm{\dot{I}_{c1}}\)の大きさを\(\mathrm{I_{c1}}\)とすると、\(\mathrm{E_{a}=E_{b}=E_{c}}\)、\(\mathrm{I_{a1}=I_{b1}=I_{c1}}\)であるので、負荷1の三相の有効電力\(\mathrm{P_{L1}}\)、無効電力\(\mathrm{Q_{L1}}\)は次式のように表される。

\[\mathrm{P_{L1}=\colorbox{cyan}{[ 6 ]}\tag{2}}\]

\[\mathrm{Q_{L1}=\colorbox{cyan}{[ 7 ]}\tag{3}}\]

[5]~[7]の解答群

(ア)\(\displaystyle\mathrm{\frac{\dot{E}_{a}}{\dot{Z}_{0}}}\)

(イ)\(\displaystyle\mathrm{\frac{\dot{E}_{ab}}{2\dot{Z}_{0}}}\)

(ウ)\(\displaystyle\mathrm{\frac{\dot{E}_{ab}}{\sqrt{3}\dot{Z}_{0}}}\)

(エ)\(\displaystyle\mathrm{3E_{a}I_{a1}cos\phi}\)

(オ)\(\displaystyle\mathrm{3E_{a}I_{a1}sin\phi}\)

(カ)\(\displaystyle\mathrm{3E_{ab}I_{a1}cos\phi}\)

(キ)\(\displaystyle\mathrm{3E_{ab}I_{a1}sin\phi}\)

(ク)\(\displaystyle\mathrm{\sqrt{3}E_{a}I_{a1}cos\phi}\)

(ケ)\(\displaystyle\mathrm{\sqrt{3}E_{a}I_{a1}sin\phi}\)

[5]~[7]の解答

[5](ア)\(\displaystyle\mathrm{\frac{\dot{E}_{a}}{\dot{Z}_{0}}}\)

[6](エ)\(\displaystyle\mathrm{3E_{a}I_{a1}cos\phi}\)

[7](オ)\(\displaystyle\mathrm{3E_{a}I_{a1}sin\phi}\)

ⅱ)負荷2のみを考える。

 a相とb相の間に抵抗Rが接続されるので、電流\(\mathrm{\dot{I}_{a2}}\)は次式のように表される。

\[\mathrm{\dot{I}_{a2}=\colorbox{cyan}{[ 8 ]}\tag{4}}\]

ⅲ)ⅰ)及びⅱ)をふまえ、三相全体を考える。

 三相交流電源から見ると、抵抗Rで消費される有効電力が増加することになるので、三相の有効電力\(\mathrm{P_{3}}\)、無効電力\(\mathrm{Q_{3}}\)は次式のように表される。

\[\mathrm{P_{3}=\colorbox{cyan}{[ 9 ]}\tag{5}}\]

\[\mathrm{Q_{3}=Q_{L1}\tag{6}}\]

 このとき、交流電源のa相線電流\(\mathrm{\dot{I}_{a}}\)は、\(\mathrm{\dot{I}_{a1}+\dot{I}_{a2}}\)となっている。

[8]~[9]の解答群

(ア)\(\displaystyle\mathrm{\frac{\dot{E}_{a}}{R}}\)

(イ)\(\displaystyle\mathrm{\frac{\dot{E}_{ab}}{R}}\)

(ウ)\(\displaystyle\mathrm{\frac{\dot{E}_{a}+\dot{E}_{b}}{R}}\)

(エ)\(\displaystyle\mathrm{P_{L1}+\frac{\dot{E}_{a}^{2}}{R}}\)

(オ)\(\displaystyle\mathrm{P_{L1}+\frac{3\dot{E}_{a}^{2}}{R}}\)

(カ)\(\displaystyle\mathrm{P_{L1}+\frac{4\dot{E}_{a}^{2}}{R}}\)

[8]~[9]解答

[8](イ)\(\displaystyle\mathrm{\frac{\dot{E}_{ab}}{R}}\)

[9](オ)\(\displaystyle\mathrm{P_{L1}+\frac{3\dot{E}_{a}^{2}}{R}}\)

2)有効電力と無効電力 第二の方法

 負荷1と負荷2を合成した不平衡三相負荷として三相回路を考える。

ⅰ)負荷1と負荷2を合成する。

 負荷1と負荷2を合成したΔ結線不平衡三相負荷回路は図2のように示される。

スターデルタ変換

図2

 ここで、線電流を\(\mathrm{\dot{I}_{a}’}\)、\(\mathrm{\dot{I}_{b}’}\)及び\(\mathrm{\dot{I}_{c}’}\)とする。この回路において、b相とc相の間の負荷及びc相とa相の間のインピーダンス\(\mathrm{\dot{Z}_{1}}\), a相とb相の間のインピーダンス\(\mathrm{\dot{Z}_{2}}\)は、それぞれ次式のように表される。

\[\mathrm{\dot{Z}_{1}=\colorbox{cyan}{[ 10 ]}\tag{7}}\]

\[\mathrm{\dot{Z}_{2}=\colorbox{cyan}{[ 11 ]}\tag{8}}\]

[10]~[11]の解答群

(ア)\(\displaystyle\mathrm{3\dot{Z}_{0}}\)

(イ)\(\displaystyle\mathrm{\frac{1}{3}\dot{Z}_{0}}\)

(ウ)\(\displaystyle\mathrm{\frac{1}{\sqrt{3}}\dot{Z}_{0}}\)

(エ)\(\displaystyle\mathrm{\dot{Z}_{1}+R}\)

(オ)\(\displaystyle\mathrm{\frac{\dot{Z}_{0}R}{\dot{Z}_{0}+R}}\)

(カ)\(\displaystyle\mathrm{\frac{\dot{Z}_{1}R}{\dot{Z}_{1}+R}}\)

[10]~[11]解答

[10](ア)\(\displaystyle\mathrm{3\dot{Z}_{0}}\)

[11](カ)\(\displaystyle\mathrm{\frac{\dot{Z}_{1}R}{\dot{Z}_{1}+R}}\)

ⅱ)不平衡三相負荷に流れ込む線電流を求めることで、有効電力及び無効電力が分かる。

 図2に示すように、a相とb相の間のインピーダンス\(\mathrm{\dot{Z}_{2}}\)に流れる電流を\(\mathrm{\dot{I}_{ab}}\)、c相とa相の間のインピーダンス\(\mathrm{\dot{Z}_{1}}\)に流れる電流を\(\mathrm{\dot{I}_{ca}}\)とすると、a相線電流\(\mathrm{\dot{I}_{a}’}\)は次式のように表される。

\[\mathrm{\dot{I}_{a}’=\dot{I}_{ab}-\dot{I}_{ca}=\colorbox{cyan}{[ 12 ]}\tag{9}}\]

 対称三相の線間電圧と相電圧の関係式として、次式のようになる。

\[\mathrm{\dot{E}_{ab}-\dot{E}_{ca}=\colorbox{cyan}{[ 13 ]}\tag{10}}\]

 式(7)、式(8)及び式(10)の結果を使って式(9)を計算し、式(1)と式(4)の結果を代入すると、\(\mathrm{\dot{I}_{a}’}\)は次式のように表され、\(\mathrm{\dot{I}_{a}’=\dot{I}_{a}}\)であることが示される。

\[\mathrm{\dot{I}_{a}’=\dot{I}_{a1}+\dot{I}_{a2}\tag{11}}\]

 同様の手順で\(\mathrm{\dot{I}_{b}’=\dot{I}_{b}}\)、\(\mathrm{\dot{I}_{c}’=\dot{I}_{c}}\)となるので、有効電力及び無効電力については、第一の方法と同じ結果となることが分かる。

[12]~[13]の解答群

(ア)\(\displaystyle\mathrm{\dot{E}_{a}}\)

(イ)\(\displaystyle\mathrm{2\dot{E}_{a}}\)

(ウ)\(\displaystyle\mathrm{3\dot{E}_{a}}\)

(エ)\(\displaystyle\mathrm{\frac{\dot{E}_{ab}}{\dot{Z}_{2}}+\frac{\dot{E}_{ca}}{\dot{Z}_{1}}}\)

(オ)\(\displaystyle\mathrm{\frac{\dot{E}_{ab}}{\dot{Z}_{2}}-\frac{\dot{E}_{ca}}{\dot{Z}_{1}}}\)

(カ)\(\displaystyle\mathrm{-\frac{\dot{E}_{ab}}{\dot{Z}_{2}}+\frac{\dot{E}_{ca}}{\dot{Z}_{1}}}\)

[12]~[13]解答

[12](オ)\(\displaystyle\mathrm{\frac{\dot{E}_{ab}}{\dot{Z}_{2}}-\frac{\dot{E}_{ca}}{\dot{Z}_{1}}}\)

[13](ウ)\(\displaystyle\mathrm{3\dot{E}_{a}}\)

解説

[5]線電流\(\mathrm{\dot{I}_{a1}}\)

 線電流\(\mathrm{\dot{I}_{a1}}\)は負荷\(\mathrm{\dot{Z}_{0}}\)に流れる電流である。負荷\(\mathrm{\dot{Z}_{0}}\)に印加される電圧は、平衡三相負荷より\(\mathrm{\dot{E}_{a}}\)となる。よって、線電流\(\mathrm{\dot{I}_{a1}}\)は、次式で表される。

\[\mathrm{\dot{I}_{a1}=\frac{\dot{E}_{a}}{\dot{Z}_{0}}}\]

[6]有効電力\(\mathrm{P_{L1}}\)

 三相回路の有効電力\(\mathrm{P_{L1}}\)は、1相の電力を3倍すれば良いので、次式で表される。

\[\mathrm{P_{L1}=3E_{a}I_{a1}\cos\varphi}\]

[7]無効電力\(\mathrm{Q_{L1}}\)

 無効電力\(\mathrm{Q_{L1}}\)も同様に、次式であわわされる。

\[\mathrm{Q_{L1}=3E_{a}I_{a1}\sin\varphi}\]

無効電力の場合は、\(\mathrm{\sin\varphi}\)を掛ける事に注意して下さい。

[8]負荷2に流れる電流\(\mathrm{\dot{I}_{a2}}\)

 負荷2へ印加される電圧は、\(\mathrm{\dot{E}_{ab}}\)であるから、負荷2に流れる電流\(\mathrm{\dot{I}_{a2}}\)は次式で表される。

\[\mathrm{\dot{I}_{a2}=\frac{\dot{E}_{ab}}{R}}\]

[9]全有効電力\(\mathrm{P_{3}}\)

 全有効電力\(\mathrm{P_{3}}\)は、負荷1の有効電力\(\mathrm{P_{L1}}\)と負荷2の有効電力\(\mathrm{P_{L2}}\)の和である。負荷2の有効電力\(\mathrm{P_{L2}}\)は、[8]の負荷電流\(\mathrm{\dot{I}_{a2}}\)より、次式で表される。

\[\mathrm{P_{L2}=E_{ab}I_{a2}=\frac{E_{ab}^2}{R}}\]

\(\mathrm{E_{ab}=\sqrt{3}E_{a}}\)であるから、

\[\mathrm{P_{L2}=\frac{(\sqrt{3}E_{a})^2}{R}=\frac{3E_{a}^2}{R}}\]

よって、全有効電力\(\mathrm{P_{3}}\)は、次式で表される。

\[\mathrm{P_{3}=P_{L1}+P_{L2}=P_{L1}+\frac{3E_{a}^2}{R}}\]

[10]インピーダンス\(\dot{Z}_{1}\)

 インピーダンス\(\dot{Z}_{1}\)は、インピーダンス\(\dot{Z}_{0}\)のスターデルタ変換後である。

 三相平衡回路におけるスター(Y)のインピーダンス\(\dot{Z}_{Y}\)とデルタ(△)のインピーダンス\(\dot{Z}_{\triangle}\)には次式の関係がある。

\[\mathrm{\dot{Z}_{\triangle}=3\dot{Z}_{Y}}\]

よって、インピーダンス\(\dot{Z}_{1}\)は、次式で表される。

\[\mathrm{\dot{Z}_{1}=3\dot{Z}_{0}}\]

[11]インピーダンス\(\dot{Z}_{2}\)

 インピーダンス\(\dot{Z}_{2}\)は、\(\dot{Z}_{2}\)と負荷2のインピーダンスRの並列和であるから、次式で表される。

\[\mathrm{\dot{Z}_{2}=\frac{\dot{Z}_{1}R}{\dot{Z}_{1}+R}}\]

[12]a相線電流\(\mathrm{\dot{I}’_{a1}}\)

 [10]及び[11]で求めたインピーダンス\(\dot{Z}_{1}\)、\(\dot{Z}_{2}\)を用いて計算します。

\[\mathrm{\dot{I}_{a}’=\dot{I}_{ab}-\dot{I}_{ca}=\frac{\dot{E}_{ab}}{\dot{Z}_{2}}-\frac{\dot{E}_{ca}}{\dot{Z}_{1}}}\]

[13]線間電圧の差分\(\mathrm{\dot{E}_{ab}-\dot{E}_{ca}}\)

\[\mathrm{\dot{E}_{ab}-\dot{E}_{ca}=(\dot{E}_{a}-\dot{E}_{b})-(\dot{E}_{c}-\dot{E}_{a})}\]

\[\mathrm{=2\dot{E}_{a}-\dot{E}_{b}-\dot{E}_{c}}\]

ベクトル図より、\(\mathrm{\dot{E}_{b}+\dot{E}_{c}=-\dot{E}_{a}}\)である。よって、

\[\mathrm{\dot{E}_{ab}-\dot{E}_{ca}=3\dot{E}_{a}}\]

ベクトル

図3 線間電圧のベクトル

役に立ったらシェア!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

高専卒業後に大学行かず就職。数年後リーマンショックの不景気でリストラ。幸いにも学生時代に取得した国家資格「電験3種」で上場企業に転職。それから10年以上経過し様々な資格を取得。順調に昇給/昇進しました。私と同じように学歴や就職で失敗し後悔している方々の参考になればと思います。

コメント

コメントする

CAPTCHA


もくじ